海と田んぼPROJECT スシロー

Project No.5 串本のまぐろ(販売終了)

卵から育て上げた本まぐろを格別の生で。

< 和歌山県串本町 2015年1月 >

  • 生け簀から釣り上げ船上へ。すばやさが勝負。

  • 山下さんは処理し終わったまぐろを氷水へ。

  • きれいに並んだ生け簀の中でまぐろが元気に泳ぐ。

  • 水揚げされた後、しっかりタンクで冷やし込まれる。

  • 赤身から大トロまで、まぐろのうまさを存分に。

卵から成魚まで丹精込めて

「いつどこで生まれ、どんな環境で育ち、どの産地の何を餌にして大きくなったか。全部わかるんです」。生け簀(す)から釣り上げられたばかりの、丸々と太った立派な本まぐろは、小さな卵から人の手によって大切に育てられた人工ふ化養殖によるものでした。

この人工ふ化養殖本まぐろは、さまざまな水産事業を手がける東洋冷蔵が新たなブランド「TUNA PRINCESS」として本格的に販売展開を始めたもの。近畿大学の人工ふ化施設で採卵してふ化、飼育を行った稚魚を、東洋冷蔵(株)が保有する和歌山県串本町の豊かな海の生け簀に移し、徹底した管理の下、4年という長い年月をかけて成魚に育てます。個体数が減り世界的に漁獲規制が強まる中で、できるだけ天然資源に頼らず持続性のある、これからの本まぐろ養殖を追求しています。スシローでは、そうした新たな養殖事業に注目。卵から丹精込めて育て上げられた本まぐろを、素材のうまみがそのまま楽しめる生本まぐろとして店頭で味わっていただくプロジェクトに生産者の方々と取り組みました。

可愛くて仕方がない!

本州の最南端、和歌山県の串本から橋を渡って、手つかずの自然が残る紀伊大島へ。この地に今回、出荷される本まぐろがまだ1~3グラムほどの稚魚としてやってきたのは、2011年の夏のことでした。細心の注意を払いながら、特別に目の細かい網で作られた生け簀に移されます。餌は、小女子(こうなご:いかなごの稚魚のこと)を口のサイズに合うように、さらに小さく刻んだものなど。「小さな稚魚は頻繁に餌を食べる。人間の赤ちゃんと一緒ですね。だから最初の2〜3週間は、スタッフ総出でずっと生け簀に張り付いて餌やりです」と話してくれたのは、養殖の現場で責任者を務める中村さん。徐々に餌やりの回数は減るかわりに、1回に食べる量がどんどん増えていくそうです。

波静かな入り江に、本まぐろのための直径30メートルの大きな生け簀が約60基も見事に区画整理されて並ぶ眺めは壮観です。「夏の終わりには体長が30センチを超えるほどになり、1年経てばもうしっかりまぐろの顔をした2〜3キロくらいの魚体になります。たいへんな勢いで成長していくので、それに合わせて餌のサイズも変えていかなくてはなりません」。餌として用意するのは、さばやいわし、あじ、さんま、大女子(おおなご:いかなごの成魚のこと)、そのほかにも自然に配慮した配合飼料などさまざま。「魚っていろいろな栄養素が詰まっているから、1匹丸ごと食べさせたいんですよ。それもさまざまな種類の魚をバランスよく。天然のまぐろがいろんなものを食べているのと同じように」(中村さん)。

同じく現場で作業にあたる山下さんは、「体長5センチほどしかない頃から手塩にかけて育てているので、可愛くて仕方がないね。まぐろたちに“がんばれよ!”、“元気だったか?”って、つい声をかけちゃうんですよ」と、ちょっと照れながら教えてくれます。その大切なまぐろが暮らす生け簀の状態は、頻繁にダイバーが潜って確認。毎日、複数箇所で海洋環境の計測を行い、海底の土砂や底生生物など含めた大掛かりな環境調査も年に2回実施されています。厄介なのが、日々変化する潮の色です。「海が濁ると、高速で泳ぐまぐろにとっては目の前が壁のようになり、衝突して死んでしまうこともあります。濁りが入りそうになると、対策を考えみんなで迎え撃ちます」(中村さん)。まぐろは、お腹がいっぱいになると消化のために高速で泳ぐため、海が濁りそうになったら餌の量を調整し運動量が増えないようにするそうです。

最高の状態でお届けするために

40キロ前後に成長した本まぐろは、いよいよ出荷の時期を迎えます。すばやく釣り上げ完璧な処理で鮮度を重視。「暴れるとまぐろの体温が上がり、身質が変わって味も落ちてしまうので、できるだけ時間をかけないように心がけています」(中村さん)。ふ化から販売まで一貫管理によるタグがそれぞれに付けられ、氷たっぷりのタンクに入れて輸送されます。色持ちよく保つためにしっかり冷やし込まれ、お客様のお口に届く頃にはベストの状態になります。

さて実際に、スタッフ一同で店舗にて試食することに。赤身には艶があって、ほどよくほんのり脂が差し、中トロは赤身のうまさと脂の甘みが絶妙なバランスです。そして大トロは、思いのほかきめ細かな脂ののりで見事。捌いた商品部の担当者も、色味・食感ともにたいへん満足の様子でした。

「私がまぐろに関わるようになって25年になりますが、これは味も格別です。ぜひスシローで味わった感想をお聞かせいただいて、さらに質の高いまぐろの養殖を目指したいですね」と山下さん。こうした安心・安全でおいしいこだわりの食材を全国のスシロー・ファンの方々にお届けするために、スシローは、食と真剣に向き合う生産者の方々と、これからも共に歩みを進めていきたいと思います。

(今回、スシローでは、この串本育ちのものとともに、同じくTUNA PRINCESSの長崎県五島市で養殖されたものを合わせてお届けします。)

2015年2月4日(水)から全国のスシロー店舗にて販売 ※数量限定、なくなり次第終了

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