海と田んぼPROJECT スシロー

Project No.6 鹿児島のかんぱち(販売終了)

じっくり育て上げた驚きの味を。

< 鹿児島県垂水市 2015年2月 >

  • 輝く魚体を手にして小濱秀則さん(左)と豊﨑(右)。

  • 生け簀から水揚げされるかんぱちは元気いっぱい。

  • 見事なチームワークで、すばやく船内の生け簀へ。

  • 遠くから小濱親子を見守るのは噴煙を上げる桜島。

  • 「ウチのかんぱちが、いちばんうまかぁ!」

「うまい!」と太鼓判のその魚とは?

スシローの元仕入部長であり現在は取締役最高顧問である豊﨑賢一が、初めてその魚を味わったのは2014年3月、社内の試食会でのことでした。一口食べた瞬間に「これは、うまい!」と絶賛。「格別においしいのが食べてすぐにわかりました。成熟したうまさがありましたね」。

その魚こそ、主に九州地方ではアカバナとも呼ばれている、6キロ以上ある大型のかんぱち。大きく成長するとともに、かんぱちの特徴である頭部の八の字模様が徐々に薄くなり、魚体が赤紫色に変化します。そして味も、濃厚で深みのあるうまみと甘みが増していきます。天然のものでも、釣りや定置網などで魚獲されることは稀で、地元の九州でさえ一般の食卓に上がることはほとんどありません。

豊﨑顧問が「うまい!」と太鼓判を押してから約1年の月日をかけて、スシローは、この貴重な大型のかんぱちを、全国のお客様にも味わっていただくために生産者の方々とプロジェクトを進めてきました。

元気な魚を育てる新発想

雄大な桜島の眼下に広がる錦江(きんこう)湾へ。この風光明媚な海で、かんぱちの養殖が盛んに行われています。豊富なミネラルを含んだ黒潮の分流が湾内に流れ込み、年間を通してかんぱちの養殖に適した水温帯をつくりだします。

訪ねた小浜(おばま)水産は、かんぱちの全国屈指の生産者として知られ、77基ものかんぱちの生け簀(す)を錦江湾に広く展開しています。漁場は黒潮によって潮流が速いため、運動量が増えて身が締まり脂ののりがよい良質なかんぱちを育てることができます。

そうした恵まれた環境によってだけでなく、小浜水産ではオバマスタイルと呼ばれる独特の給餌法で、元気なかんぱちを育てているのが大きな特徴です。青物の養殖では、給餌は夏場で朝・夕の2回、魚の食いが落ちる冬場で回数を減らして与えるのが通常ですが、オバマスタイルでは夏場でも週に約3回だけ、冬場は週に約1~2回と、これまでの常識を覆すような手法が採られているのです。「昔は競って餌をやったものです。今日は何トン餌まいてやったぞってね。でもある時、息子に『父ちゃん、このままではダメなんじゃないの?』と指摘されました」と語るのは、会長の小濱秀則さん。「魚をよく見ると、余分に食べ過ぎた餌を口から吐き出している状態だったんです」。

それから、このオバマスタイルによる給餌が始まります。試行錯誤を重ねながら給餌方法に合うオリジナルの飼料も開発しました。

「最初はもう不安で、胃薬を飲みながらでしたよ」と語る次男の洋志さんは、頻繁にかんぱちの体長や体重、肥満度を計測して検証。餌の回数を減らしても丈夫にしっかり成長することを確かめました。「人間も程よく食べていたほうが健康じゃないですか。病気にもなりにくいんです」(長男の秀和さん)。漁場も汚れずきれいな環境を維持できるようになるとともに、かんぱちは理想的な増肉と脂質の向上を実現。味もうまみが増し、生臭みのない上品な仕上がりになったのです。

孫たちも競って食べる格別の味!

そして、小浜水産の挑戦はまだまだ続きます。それがアカバナとも呼ばれる大型のかんぱちです。通常、かんぱちは1~2年養殖して3~4キロの状態で出荷されますが、小浜水産が取り組んでいるアカバナは4年をかけて6キロ以上、中には8キロ超の大きな魚体にまで育て上げます。「本来、かんぱちは20キロ、80キロにも達するものもいる大型魚。ある意味、今まではかんぱちの“稚魚”を売っていたわけです。それなら、大きく育てれば成熟したおいしさがあるだろうと考えました」(秀則さん)。

市場では、大きく育てても商品として扱いづらく、まわりの人たちからは「そんな大きなかんぱちつくってどうするんだ?」と言われたそうです。ところが、紆余曲折を経てできあがったアカバナは、良質な脂がきめ細かく身に差し、うまみもさらに増して上品な味わいに。また身に力があって日持ちもよく、関係者のあいだで話題を集めることになります。

鹿児島を訪れ早速、獲れたてのアカバナを手にした豊﨑顧問は「なにより魚体がとてもきれいですよね。まず見て美しいことが、うまいにつながっています」。かんぱちをただ単に大きく育てれば、おいしいアカバナになるわけではありません。小濱さんたちが苦労して築いたノウハウを結集し注いだ愛情が、美しい立派なアカバナをもたらしたのでしょう。

「孫が5人いるんだけど、みんなかんぱちが大好きでね。『パパがつくったのはおいしい』と言って競争しながら食べてますよ」と秀則さん。豊﨑顧問も「じっくり成熟させることで生まれたうまさに、私自身がびっくりした魚なんで、ぜひ味わってみてください」とイチオシする“幻のかんぱち”。そのうまみと甘みの増したまろやかな味わいが、ようやく2015年3月に「黒潮極上かんぱち」としてスシローの店頭に登場します。

こうした味と安全にこだわり丹精込めて生まれた食材をいち早くお届けしていくために、これからもスシローはこの「海と田んぼPROJECT」に生産者の方々と力を合わせ真摯に取り組んでいきます。

  • 鹿児島では大型のカンパチのことを主に「アカバナ」と呼んでいますが、地域によっては「アカハナ」「アカバラ」など、さまざまな呼称があります。

  • 豊﨑賢一は2016年2月1日より、株式会社スシローグローバルホールディングス 取締役に就任

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